人と食事をするときに動悸や吐き気などの症状が出てしまう精神疾患を会食恐怖症といい、これで悩んでいる人は多いです。
私は8年前に会食恐怖症になってから様々な食事で失敗をしてきましたが、中でも職場での食事というのはハードルが高いと感じました。
そして、会食恐怖症とまではいかなくても、職場での食事はできれば一人でしたい、という人も意外に多いものです。
特に飲み会という場所だとそれが顕著で、参加はするけどあまり食欲が出なくなるという人はかなり多く見受けられます。
また、職場で仲が良い人なのに一緒に食事となると気が進まない、と言う人もいます。
今回の記事では、なぜ職場の人と「普段のコミュニケーション」は特に問題ないのに、「食事」が絡むと急に嫌になってしまうのかについてお話ししていきたいと思います。
【結論】脳が「食べること」以外の負荷を無意識に受けてしまっているから

まず結論からですが、職場の人との食事という行為は、「ものを食べる」ということ以上の負荷がいくつも発生します。 その負荷により、脳は少なからずの「警戒フェーズ」に入ってしまいます。そうなると、交感神経が優位になり胃腸の働きが物理的に抑制され、その結果食べづらくなるという流れになります。
以下に、その負荷の種類を大きく分けて2つ挙げます。
- 社会的な負荷
- 仕事とプライベートの境界線による負荷
それぞれについて後ほど深堀していきます。
社会的な負荷
いくら職場とは離れた場所で食事をしようが、食事相手が職場の同僚や上司だった時点で気持ち的には「職場」とは完全に切り離されていません。 特に日本の職場では「愛想良く相槌を打つ」とか「空気を読む」とかの社会的な行動が評価されるというのが事実として存在します。 そのため、食事の場でもある程度の立ち回りは要求されることになります(もし相手が要求していなくても、実態としては必要なことも多いです)。
仕事とプライベートの境界線による負荷
警戒というのは、「~してはいけない」「~しなければならない」と思っているときに起こりやすいです。それは意識的に思っているか無意識に思っているかを問いません。 最近は「ハラスメント」という言葉を聞く機会も増えてきていますし、「仕事」と「プライベート」の境界線があいまいになる食事の場こそ気を付けなければなりません。 仕事の話であれば特に気にせずコミュニケーションを取れますが、ひとたびプライベートの話をしようものなら多数の地雷が埋まっている地雷原のような道を歩くようなものになります。
まぁ、実際はそこまで極端なものではないことのほうが多いと思いますが、「これ聞いちゃだめだよな…」とか「さっきの会話ハラスメントだったかも…?」と思いながらの食事は少なからず負荷がかかります。その結果、脳が食事の場を「警戒すべき場だ」と無意識に判断し、胃腸の動きを抑制する指令を出すようになります。これが職場の人とだと食事がしづらくなることの正体です。
解決策

じゃあどうするの?というところですが、「ちょっと食べづらいかも…」という方は、まずは「ランチは基本ひとりで軽く済ませてます」という立ち位置を作ることが重要になります。「ダイエットしてて…」というのも言い訳として有効です。今の時代、誘う側もしつこく誘えません。
「ランチの場で輪ができてしまって自分が除け者にならないか不安」という懸念を抱く方もいるかもしれませんが、お酒の場はともかく、数十分の職場ランチ程度ではそこまで固い絆は生まれないことの方が多いです。実際職場ランチしている側も、仕事とプライベートの境界線を気にしながら、結局とりとめのない会話をしていることが多かったりします。考えすぎないのが吉です。
とはいえ、飲み会となると話は別です。アルコールが入って思考のロックが緩くなることで、愚痴や深い話を通して絆が深まってしまうことも多いです。 何かに対する愚痴は、結束力を高める効果があります。それってどうなのって思いますが、大多数の人間がそういう風にできているのだから仕方がありません。
そういった懸念を切り捨てる覚悟が決まっているのであれば飲み会も断ればいいのですが、ここからは飲み会含めどうしても職場の人と食べることになった場合の対策について2つお話ししていきます。
最初から食べやすいものを選ぶ

日本には昔から「完食指導」というものが強く根付いており、「全部食べなければいけない」というのは多くの人の頭の中に刷り込まれています。 そして、人間というのは「全部食べなきゃ」と思えば思うほど食べられなくなるものです。 じゃあ残せばいいの?と言うとそんなに単純な話でもなくて、実際目の前の人がご飯を残していると理屈抜きに嫌な気持ちになってしまう人も多いです(私にはその気持ちが全く理解できませんが)。
だから、最初から「食べやすいもの」を選ぶということをしてあげる必要があります。 普段食事を苦手としていない人はそこまで意識することがないと思いますが、基本的には「消化に良いもの」は食べやすいし「消化に悪いもの」は食べにくいようになっています。 だから、緊張するかもな…というシチュエーションでは「カツ丼」や「天ぷら」のようなものは避け、消化に良いお蕎麦やうどん、和食などを選ぶことが重要になります。 私は職場の人とランチに行くときは、蕎麦屋や回転ずしを積極的に打診するようにしています。
とはいえ、会社の飲み会の場では自分が食べたいものを選べない状況の方が多いですよね。ただ、飲み会はランチと違って「食べること」が主目的ではないため、食べられなくても気にしない、自分が食べたいと思ったものだけ食べるというメンタリティが重要になります。もし食べていないことに言及されたら、「ちょっと胃もたれしてて」のような適当な返し札を用意しておけば大丈夫です。どうせ相手も大して気にしていません。 空腹が気になる場合は事前に軽く食べておくというのもありです。
会話を背負いすぎない

「無言の時間が怖い」というのは多くの人が一度は思ったことがある感情だと思いますが、こと職場の飲み会ではそんなに気にしなくてもいいです。「自分が何か話題を出さなきゃ」というのは体に毒です。 職場の食事では社会的な行動が評価されるというのを冒頭の方でお話ししましたが、無言の時間でなにも発さないよりも焦って失言をしてしまうことのほうがよほど悪です。無言になっても「別に自分のせいじゃないしな」ぐらいの気持ちでいれば、無言の時間もそこまで苦ではなくなってきます。無言の時間は各々が食事の味に集中できる時間という考え方もできます。
そもそも職場とは仕事をするところ

以上、職場での食事がしづらい理由とその対策についてお話ししてきました。 色々と話しましたが、そもそも職場というのはあくまで給与をもらうために仕事をする場所でしかないので、行きたくない食事には行かなくても問題ない、という心構えも大事だと思います。 アメリカでは週末に上司の家でのバーベキューを誘われて断れないみたいなこともよくあるらしいので、コンプラが厳しくなった今の日本という環境をうまく利用して快適な職場ライフを楽しんでもらいたいです。
ちなみに私は職場での食事を全否定しているわけではなく、あくまで「行きたい」と思ったら行く、「行きたくない」と思ったら行かないことを推奨したいです。それは悪いことではないしわがままでもありません。 以上、少しでも参考になれば嬉しいです。

