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会食恐怖症を克服するためにやってよかったこと(原因・治し方まとめ)

会食恐怖症

人と食事をするときに動悸やめまい、吐き気などの症状が出る精神疾患を「会食恐怖症」といいますが、この疾患で悩んでいる方はけっこう多いです。
私も当事者のひとりで、克服するために今まで本当に色々なことをやってきました。 その結果、一番ひどかった時と比べると、はるかに上手に付き合えるようになりました。

とはいえ私にもまだ苦手なシチュエーションはありますし、あまり偉そうなことは言えないのですが、私がいままでしてきたことは決して無駄じゃなかったなと思っています。そのため、この記事では自分がどういうことをしてきたかをお話ししていこうと思います。

若月と申します。自らの経験から、会食恐怖症を克服するための情報を発信しています。XYoutubeもやっています。

会食恐怖症による生活への影響は甚大

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人と食事ができないことによるQOL(生活の質)の低下は、とてつもなく大きいです。
以前、ある精神科医の方がYouTubeで「会食に行かなければいいんですよ」と言っていましたが、それは現実的ではないです。普通に生きていると、食事の場面というのはどうしてもついて回りますし、そのたびに相手に納得してもらえるような理由をつけて帰るのは相当難しいものがあります。

なにより、会食恐怖症の人だって本当は人と食事がしたいんです。 周りからは「人と食事をするのが苦手なんだね」と捉えられがちですが、実際はそうではなく「人と食事がしたいのにできない」というケースが多いです。私もずっとそうでした。

一朝一夕で治せるものではないのが実情

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だからこそ、多くの方がそのまま放置するのではなく、克服する方向に舵を切ります。
しかし厄介なことに、会食恐怖症は短期間で治るものではありません。なぜなら、多くの場合、会食恐怖症になるまでに長い時間がかかっているからです。 幼少期からの経験や失敗、トラウマによって思考のクセが凝り固まってしまった結果、反射的にさまざまな症状が出てしまいます。

私が初めて会食恐怖症を自覚したのは大学生の時でしたが、思い返してみると、それより何年も前から私は会食恐怖症だったんだと思っています。

克服の流れは三段階

「会食恐怖症の克服」となると、「会食の練習をたくさんするの?」と思われがちですが、実は会食の練習はかなり最後のほうの段階です。私はこれを知らずに、とにかく会食の練習をしまくった結果、何度も失敗して自分のことがどんどん嫌いになり、克服が難航しました。

上図のピラミッドは、私が6、7年ほど前に「会食恐怖症克服支援協会」の代表である山口健太さん主催のオフライン相談会に参加した際、その講義内容を自分なりに解釈して実行したものです。今では、この方法でやって本当によかったと思っています。

認知の歪みの修正

ここが克服の核となる部分ですので、最初にご紹介します。
簡単に説明すると、たとえば私の場合、ずっとこう思っていました。

「人と食事ができない自分はダメ人間だ」

文字にして客観的に見てみると、とんでもなく破綻した論理ですが、8年前の自分は本気で毎日こう思っていました。
メンタルが落ち込んでいる時って、自分の悪口を言うと不思議と少し気持ちが楽になるというか、その場では自分をどん底に落としたくなってしまいます。でも、これは気持ちを借金のように前借りしているようなもので、確実に自分の中に負債が溜まっていってしまいます。

そして「ご飯が食べられない自分=ダメ人間」という、明らかに間違った認知が凝り固まっていってしまいます。

認知の歪みの種は大体が幼少期

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「じゃあ、そもそもなんで私はこんなに歪んだ認知を持っているの?」と思うかもしれませんが、実はそのタネは幼少期に植え付けられていることが多いです。

「ご飯を残さず食べましょう」というのは、この令和の時代でも当たり前のように言われていることで、多くの場合子どもは完食すると褒められます。
そこまでは自然なことではあると思うのですが、中には「残して怒られる」子どもがいます。
毎日の給食や、部活の合宿でのノルマ、家庭での手料理などで、そういったことが今でも多くの場所で起こっています。

そういった経験をした子どもの脳には、
「全部食べられない自分は悪い子だ」という認知が生まれてしまいます。
そして、この歪んだ認知を払拭できないまま脳の中でどんどん凝り固まり、どこかのタイミングで症状として現れて苦しめられることになります。
これが、会食恐怖症になる流れとして最も多いパターンです。

心理カウンセリングは有効

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上に挙げた認知の歪みは氷山の一角に過ぎず、実際にはもっと多くの隠れた歪みがあったりします。しかし、自分が持っている歪みを見つけるのも、それを修正するのも至難の業で、自分一人の力では限界があるというのが実情です。

だから、自分の症状はそこまで重くないと思っている方でも、プロのカウンセリングを受けてみることをおすすめしたいです。
実際、私もこれまでに5名以上の公認心理師(国家資格)の方のカウンセリングを受けてきましたが、「意味がなかったな」と思ったことは一度もありません。

公認心理師のカウンセリング料金はかなり高い

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しかしながら、カウンセリングというのは基本的に保険適用外で、国家資格保有者のカウンセリングとなると1時間1万円ぐらいかかってしまいます。 これを毎月続けるとなると、なかなか厳しいという方も多いはずです。

そんな時は、「会食恐怖症克服支援協会」の認定カウンセラーに相談してみるのも一つの手です。自分と同じ悩みを抱えていた方に、オンラインなどで気軽に相談することができます。

生活習慣の改善で土台を作る

ここまでは核となる「認知の歪みの修正」についてお話ししてきましたが、それを土台として支えるのが「生活習慣の改善」になります。

会食恐怖症の克服には、「幸せホルモン」とも呼ばれる「セロトニン」という脳内物質を増やすことが非常に重要になります。生活習慣の改善を行うことで、このセロトニンを増やすことができます。
うつ病やパニック障害の治療に使われるSSRIというお薬も、このセロトニンの働きを高める作用を持っているので、科学的にも有効な手段と言えます。

生活習慣の改善というのは少し耳が痛い話ではありますが、会食恐怖症の克服を抜きにしても、自分の体調が良くなることは今後の人生にとっても良いことだと思うので、ぜひ変化を歓迎する気持ちで取り組んでみてください。

睡眠

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これが最も重要になります。おすすめは以下の通りです。
・7時間以上寝る
・毎日同じ時間に消灯する
・睡眠の1時間半前に入浴する
・朝起きたら朝日を浴びる
・寝る前に入眠儀式(ルーティン)を行う

世間で言われていること以上の情報がなくて恐縮ですが、強いて言うなら、寝る前に自分が好きな香りのハンドクリームを塗るのがおすすめです。
自分の体に「今から寝るよー」と教えてあげることが大切です。

運動

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散歩はセロトニンを増やすのに非常に効果的だと言われています。 厚生労働省が公開している「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」によると、成人に推奨されている1日の運動量は以下の通りです。

1日60分以上のウォーキングまたは同等以上の強度の活動(1日約8,000歩以上に相当)

かなりハードに見えますが、これはあくまで「これだけやれば確実に大丈夫だよ」という指標であって、それぞれが無理のない範囲で行っていければ十分だと思います。

食事

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ジャンクフードを減らすことや、たんぱく質と野菜を多く摂ることなどももちろん大切ですが、私が特におすすめしたいのは以下の2点です。

①セロトニンの原料となるトリプトファンを意識的に摂取する
トリプトファンとは、体内で作ることができない必須アミノ酸のひとつです。これが足りないと、いくらセロトニンを増やす行動をしても生成されません。トリプトファンが豊富な食材は以下の通りです。

乳製品: 牛乳、ヨーグルト、チーズ 肉/魚: 牛肉、鶏肉、カツオ、マグロ、赤身魚 大豆製品: 豆腐、納豆、味噌 その他: 卵、ナッツ類、バナナ、オートミール、チョコレート

100gあたりで考えると最も多くトリプトファンが含まれているのは「卵」なので、意識的に摂るのがおすすめです。

②体を冷やさない
体が冷えると自律神経が乱れ、その結果セロトニンの分泌が滞ってしまいます。 私が一番おすすめしたいのは「白湯」です。夜寝る前に電子ケトルでお湯を沸かし、それを保温ポットや水筒に入れておいて翌日に飲むと、体温も上がり気持ちも安定しやすくなります。

会食の練習

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認知の歪みの修正と生活習慣の改善がある程度できたら、少しずつ「会食ができるかも」という心の準備が整ってきます。
そのタイミングで、ようやく会食の練習に入っていけるようになります。

残しても大丈夫という認識を持つ

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たとえば、友人とご飯を食べている時に、相手がご飯を残していたらあなたはどう思いますか? 私ならこう思います。 「お腹がいっぱいなのかな〜」と。本当に、それ以上でもそれ以下でもありません。 たぶん、これぐらいの温度感で受け止める方が多いのではないでしょうか。

つまり、よほどのことがない限り、残したからといって責められることはないんです。何か一言言われることはあるかもしれませんが、責められているわけではないことがほとんどです。 もし頭ごなしに責められた場合は、その人は会食恐怖症の克服にとって最も避けるべき存在なので、できるだけ距離を置くしかありません。

残す練習をする

「残しても大丈夫」ということは、頭で理解するだけでなく、体にしっかり理解させる必要があります。 ですから、実際にちょっとだけ残してみて、相手の反応を見てみてください。そして「特に問題ないんだな」と確認することがとても大切です。 これは、先ほども触れた会食恐怖症克服支援協会の代表・山口健太さんの著書でも推奨されている方法なんですよ。

難易度は30%ぐらいから始める

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会食恐怖症の当事者の方ならわかっていただけると思うのですが、人との食事には「難易度」がありますよね。どんなシチュエーションが苦手なのかは人によりますが、一例を挙げるとこんな具合です。

・対面で座るのは難易度が高いけれど、斜めに座るなら楽 ・揚げ物は難易度が高いけれど、お蕎麦やうどんなら楽 ・コース料理は難易度が高いけれど、居酒屋なら楽 ・あの人となら大丈夫そうだけど、あの人とは少し不安

これらの要素をうまく組み合わせて、まずは自分なりの「難易度30%」の状況を作ってみてください。 うまくいったら40%、50%と、少しずつ難易度を上げていくのが良い流れです。

できたことに目を向ける

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この流れでスムーズに食べられるようになる方もいるかもしれませんが、なかなか食べられるようにならない方も全然いらっしゃいます。 実際、私自身もかなり難航しました。

その時に自分を責めれば責めるほど、克服は遠ざかってしまいます。 重要なのは「失敗したこと」ではなく、「できたこと」に目を向けることです。 「全部食べられなかったから失敗」ではなく、「座るだけで吐きそうになっていた自分が、一口だけでも食べられた!」と思うことで、成功体験にしてしまおうという考え方です。同じ出来事でも、捉え方次第で成功体験にも失敗体験にもなりますからね。

目指すべきは100%ではない

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私はこの方法で、難易度80%ぐらいまでは行けるようになりました。でも、90%以上の状況は今でもたぶんできませんし、むしろ無理にはやらないようにしています。

というのも、多くの当事者の方が想像する「難易度90%」のシチュエーションって、実は会食恐怖症ではない人にとっても結構避けたいシチュエーションだったりするんです。たとえば、自分が苦手な上司との食事とか、絶対に失敗できない状況でのコース料理とかですね。 会食恐怖症を持っていると、周りの人が「どんな状況でも食べられる超人」に見えてしまいますが、実際はそうでもなかったりします。

だからこそ、目指すべきは「日常生活に支障が出ないレベル」であって、ハードルは上げすぎないほうがいいんです。「自分が好きな人と、楽しく会話しながら食事ができるようになったら最高だな」ぐらいのイメージがちょうど良いと思います。

できないことは悪いことではない

話が変わりますが、映画館の真ん中の席って結構人気で、最初のほうに埋まりますよね。たぶん映画が見やすいからだと思うのですが、私はこの席には座れません。

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トイレに行きづらい状況になると何度もトイレに行きたくなってしまいますし、隣にたくさんの人が座っていると閉塞感を感じてパニック発作が起きてしまうこともあります。だから、どうしても映画館で見たい作品がある時はトイレに一番行きやすい端の席を選ぶのですが、私は真ん中の席には一生座れなくても別にいいと思っています。

この考え方を会食恐怖症の克服にも取り入れることが大切だと思っていて、要は「完璧じゃなくてもいい」ということです。映画館に行けないのは不便ですが、「端っこの席なら行ける」というレベルなら、まだなんとか楽しむことはできます。
人との食事も同じで、完璧にできない自分でも受け入れてあげることが大事だと思います。

人と食事ができなくても素晴らしい人間は沢山いる

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これまで多くの当事者の方とお話ししてきましたが、会食恐怖症を持つ方の多くが、それぞれに素敵な強みを持っていると感じています。共感能力がとても高かったり、相手の警戒心を和らげる能力に長けていたり。

先ほど「人と食事ができない自分はダメ人間だ」と思っていたとお話ししましたが、今ではとてもじゃないですがそんな考え方には至れません。
それは、多くの当事者の方との交流を通して、「人と食事ができなくても、素晴らしい人間はたくさんいる」ということを知ったからです。

私の場合は焦ってたくさんの失敗をしてきましたが、だからこそ見つけられたこともたくさんあります。 人と食事ができないままこの社会で生きていくのは、本当に絶望的で苦しいことだと思います。でも、どうか希望を捨てずに、できそうなところから少しずつ始めてみてほしいです。

色々と詰め込みすぎてしまいましたが、一番伝えたいのは「焦らなくていい」ということです。今日からでも、明日からでも、いや来週からでも全然構いません。食べられない自分のことを、まずは受け入れて、許してあげてみてください。

人と一緒に食べる幸せを本当の意味で知ったあなたは、きっと会食恐怖症になる前のあなたよりも、確実に幸せになっているはずです。

動画で解説

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